かけがえのない地球環境の保全にむけて、事業による環境負荷の低減にグループ全體で取り組んでいます。
環境擔當 執行役員 伊藤 孝男
當社は、自動車用を主力とするシート専門メーカーとして、安全?快適なモビリテ??臻gの提供にグローバルで取り組んでいますが、自動車産業に対する環境配慮への期待?要請は世界で高まっています。
特に、製品の軽量化による自動車の燃費向上を通じた溫室効果ガスの排出削減や、省資源化による資源循環型社會への貢獻は、地球環境問題の解決にむけて我々が取り組める重要な貢獻領域であるだけでなく、お客様の要請に応え、當社製品の競爭力向上に直結する戦略テーマであると考えています。
當社は、持続可能なモビリティ社會の実現にむけて、ステークホルダーの皆様と共に、製品および事業活動の環境負荷の削減に継続的に取り組み、未來世代が笑顔で暮らせる地球環境の実現にむけてグループ全體で環境保全活動を推進して參ります。
當社は、かけがえのない地球環境を次世代に継承し、人と自然が共生する社會の実現にむけて、グループ全體で環境保全活動を推進していくことが重要であるとの考えのもと、2000年に「環境方針」を制定しました。本方針では、環境法令の遵守、溫室効果ガスの排出削減、環境配慮型製品の開発など、當社の環境活動の柱となる領域を明記しています。
1.基本理念
人と自然に優しい企業
タチエスは、人や社會、自然を思いやる『優しさ』を製品づくりの基本として、従業員全員が環境に対する正しい認識を深めるとともに、地球環境の保護に積極的に取り組み、人と自然との共生による豊かな社會の実現に貢獻します。
2.環境方針
タチエスは、自動車用座席及び関連部品類の開発?設計?調達?生産等に関わる総ての事業活動において、自ら定める環境目的?目標達成のための活動と環境マネジメントシステムの定期的な見直しを推進し、環境負荷の低減に取り組みます。
1)環境に関わる國內外の法規?條例?協定、業界の基準?規制を遵守し、環境汚染を未然防止します。3)環境に優しい製品?工法の開発及び代替物質への転換に取り組み、有害化學物質の使用量を削減します。
4)省資源、省エネルギーを推進し、地域社會との積極的共生に努め、従業員一人一人の環境意識を向上して改定 2017年4月1日
當社は、環境保全活動を全社で進めるために、執行役員を委員長、各部門長を副委員長、各事業所代表者を委員とする全社環境管理委員會を設置し(事務局:総務部、年4回開催)、本社や工場などの環境保全活動を統括しています。また、2つの専門部會を設け、テーマごとに活動を行っています。さらに2020年度より製品環境管理委員會を設置し(事務局:開発総括部、年2回開催)製品における活動を行っています。
環境マネジメント體制図
當社は、環境保全活動の継続的改善にむけて、2001年に環境マネジメントシステムISO14001を導入しました?,F在は、本社を含む8拠點全てで外部認証を取得しています。
ISO14001認証取得事業所一覧
當社は、環境方針に基づき、環境保全活動の効果的推進を図るため、環境保全活動に関わる従業員の教育訓練を実施する手順を確立し、計畫的に教育を実施しています。また、新入社員に対しても、環境保全活動に関する基礎知識を習得するための教育を実施しています。
また、NPO?行政と連攜した自然環境保全活動(東京グリーンシップアクション活動)への従業員の參加を奨勵し、従業員の環境意識の醸成に取り組んでいます。本活動では、森林の間伐?伐採や作業道の整備、植樹などを行い、豊かで良好な森林環境を保つための活動を実體験で學んでいます。今後も、従業員の環境意識向上にむけて環境教育プログラムの充実を図っていきます。
新入社員への環境教育風景
事業所における緊急事態の発生に伴う環境への影響を想定し、これを予防?軽減するための手順を定め、維持管理を行っています。また、実際に事故による緊急事態が発生した時を想定し、計畫的に緊急事態対応訓練を実施しています。
タチエス技術?モノづくりセンターにおける化學物質漏洩時の緊急事態対応訓練
當社では、ISO14001に関して計畫的に內部監査および外部の専門機関による認証審査を実施し、環境マネジメントシステムが適正に維持?運用されているかを監査しています。また、內部監査員の育成も計畫的に行っています。
環境監査の実施狀況
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種別 | 実施狀況 |
認証審査 (外部審査) |
2020年2月、認証された環境マネジメントシステムが適正に維持?運用されているかの確認を目的とし、第三者認証審査(継続審査)を受け、不適合は0件で認証を継続 |
內部監査 | 2019年11月から2019年12月の約2ヵ月にわたり、事業所內における部署間の內部監査を実施し、推奨事項27件がありましたが、全て是正対応を完了し維持継続 |
當社は、自動車用シートの製造において、シートフレームのベースとなる金屬材料のほか、ウレタンやファブリック(布類)、革、プラスチック類などの非金屬材料を利用して製品を製造しています。この過程で、電力等のエネルギーを使用していますが、生産活動に伴う溫室効果ガスの排出を最小化するために、フレーム溶接などエネルギー使用量の多い工程を中心に溫室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。また、水資源の利用については、一部の設備で使用する冷卻水を除いて、ほとんど水を使用しない製造工程となっています。
當社では、「気候変動問題への対応」「化學物質管理」「持続可能な資源利用」を事業活動との関係が深い経営上の重要課題と考え、課題解決にむけた取り組みを進めています。
當社では、重要な環境課題が當社の事業活動に及ぼすリスクと機會を以下のように認識しています。これらのリスクを低減し、ビジネス機會に的確に対応することが、環境問題の解決に貢獻し、當社の企業価値を高めることにつながると考えています。
當社における環境リスクと機會
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重要な環境課題 | リスク | 機會 |
気候変動問題 (溫室効果ガスの排出削減、気候変動への適応) |
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化學物質管理 (有害化學物質の削減、環境汚染の防止) |
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持続可能な資源利用 (資源利用効率の向上、廃棄物の削減) |
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2019年度の環境保全活動に関わる目標と実績は以下のとおりでした。
2019年度の環境目標と実績(國內拠點)
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項目 | 2019年度目標 | 2019年度実績 | 達成率 |
溫室効果ガス排出量の削減 | 生産臺數原単位 7.35kg-CO2/臺 |
生産臺數原単位 6.42kg-CO2/臺 |
達成率114% |
有害化學物質使用量の削減 | 生産個數原単位 0.0350kg/臺 |
生産個數原単位 0.0344kg/臺 |
達成率102% |
最終処分廃棄物の削減 | 最終処分廃棄物量 ゼロ |
最終処分廃棄物量 ゼロ |
達成率100% |
※リサイクルできない廃棄物をサーマルリサイクルで処理し、その結果として最終処分廃棄物ゼロ=ゼロエミッションを達成しています。
地球溫暖化とそれに伴う気候変動は、氷河の融解や海面水位の上昇、洪水や干ばつ、陸上や海の生態系、食料生産や健康など、人類の生活や自然生態系にさまざまな影響を及ぼしつつあります。気候変動の防止にむけて自動車の燃費向上が求められる中、當社はシートの軽量化や製造プロセスでのCO2排出削減に取り組んでいます。
當社は全社CO?排出量削減目標を設定し継続的に排出削減への取り組みを推進しています。日常改善活動における削減活動のほか、LED照明への切り替え?省エネ型空調設備の導入?社有車への電気自動車?水素自動車の導入などにより生産臺數を指標としたCO?排出量原単位での排出削減に取り組んでいます。また、再生可能エネルギーでは技術?モノづくりセンターに20kWの太陽光発電を導入し、2019年度の発電量は20,056kWhでした。
総エネルギー使用量の推移
溫室効果ガス排出量、溫室効果ガス排出量原単位の推移
LED照明への切り替え
省エネ型空調設備の導入
日常生産活動によるCO?排出量の最小化(電力の見える化によるムダ削減)
當社では、気候変動への適応にむけて、気候変動により増加しつつある自然災害に対応するため、防災ポケットマニュアルを従業員に配布し、災害発生時における基本行動や防災対策本部の設置、安否確認システムなど、災害発生時のリスクを最小限にするための取り組みを進めています。
世界人口の増加や今後の経済発展で、化石燃料?希少金屬などの天然資源への需要はこれからも高まると考えられています。多くの資源を輸入に頼る日本がこれからも持続的に発展するためには、これまで以上に資源利用量の低減や資源利用効率を向上させ、資源循環型社會を実現することが必要です。
當社は、自動車のシートなどを開発?製造しており、鉄、樹脂部品、ファブリック(布)、革、ウレタン、ゴムなどの原材料のほか、包裝資材、電力、燃料、水などの資源?エネルギーを調達?利用しており、省資源?省エネルギーにむけた取り組みを進めることで、資源循環型社會の実現に貢獻したいと考えています。
當社では、開発段階や生産段階で省資源化にむけた取り組みを行っています。具體的には、開発段階ではシートの軽量化(フレーム材料変更による重量低減など)、構成部品點數の削減、歩留まり向上活動(布?革類の裁斷時端材の最小化など)を行っています。また、生産段階では、生産工程における不良削減(一體発泡工程での発泡不良低減など)、梱包?包裝資材の削減(使い捨ての段ボール容器を再利用可能なプラスチック容器に変更)を行っています。また、最終処分廃棄物(埋立廃棄物)については2014年度にゼロエミッション※を達成し、現在も継続しています。
※ リサイクルできない廃棄物をサーマルリサイクルで処理し、その結果として最終処分廃棄物ゼロ=ゼロエミッションを達成しています。
廃棄物総排出量の推移
最終処分廃棄物の推移
近年、地球溫暖化による気候変動や急激な人口増加により、地域によっては水資源不足のリスクが高まっています。當社は、限りある水資源を大切に使うため、生産工程での水使用量の削減に取り組むと共に、施設內では節水に取り組んでいます。
施設內での節水に取り組んだ結果、水資源投入量は前年比3.2%減の33.087m3でした。尚、排水量は水資源投入量と同量となっています。
水資源投入量の推移(タチエス 國內事業拠點)
水源別取水量の推移(㈱タチエス 國內事業拠點)
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水源種別 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 |
地方自治體の上水道 | 35,809m3 | 34,137m3 | 33,087m3 |
淡水?地下水 | 0m3 | 0m3 | 0m3 |
淡水?表層水(湖、川など) | 0m3 | 0m3 | 0m3 |
環境中に排出された化學物質のなかには、大気汚染や水質汚濁の原因となったり、長期間にわたって土壌に蓄積することで、生態系や人の健康に悪影響を及ぼすものがあります。當社は、一體発泡などの工程で化學物質を使用しており、化學物質の適正管理と有害化學物質の削減にむけた取り組みを推進しています。
2.製品製造プロセスでの化學物質使用量を把握し、適正に管理し削減します。
3.販売?物流時の化學物質の影響を把握し、適正に管理します。
4.従業員に化學物質を扱う危険性を教育し、化學物質管理の必要性を周知することに
努めます。
當社は、製品に含まれる以下の化學物質を管理化學物質に指定し、適切な管理に務めています。
また、生産工程で使用する化學物質の使用量の低減や環境負荷の低い代替物質への切り替えに取り組んでいます。
PRTR法対象化學物質の取扱量(使用量)の推移
年度 | 2017 | 2018 | 2019 |
---|---|---|---|
取扱量(kg) | 152,781 | 161,881 | 161,677 |
當社では、化學物質等による河川や地下水、土壌への汚染リスクがあるため、各事業所で環境汚染を予防するための検査?點検を含めた管理を行っており、緊急事態にそなえた訓練も計畫的に実施しています。
また、水質汚濁防止法に基づき、事業所から公共用水域に排出される排水の水質を定期的に検査しており、環境基準を満たしていることを確認しています。なお、當社では大気汚染につながる設備は有しておらず、土壌汚染も発生していません。
PCBについては、武蔵工場で0.35kgを保管しており、2020年に処分を予定しています。
工場排水の環境基準達成狀況
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項目 | 単位 | 栃木工場 | 愛知工場 | 鈴鹿工場 | |||
規制値 | 実績 (最小~最大) |
規制値 | 実績 (最小~最大) |
規制値 | 実績 (最小~最大) |
||
水素イオン濃度 | PH | 5.8~8.6 | 6.7~7.3 | 6.0~8.5 | 6.4~7.1 | 6.5~8.5 | 6.5~6.8 |
生物化學的 酸素要求量 (BOD) |
mg/? | 25 | 1.6 | 10 | 0.5~4.3 | 5 | 0.8 |
浮遊物質量(SS) | mg/? | 50 | 2 | 10 | 1~2 | 50 | 3 |
現在、人間活動による影響が主な要因で、地球上の種の絶滅のスピードは自然狀態の約100~1,000倍にも達するなど、多くの生物が絶滅の危機に瀕しており、生物多様性が失われつつあります。
その結果、私たちの豊かな生活や経済活動を支える生態系サービスが劣化しており、生物多様性の保全にむけた取り組みが全世界で求められています。
當社は殘された貴重な自然環境である、山地の森林や丘陵部の里山、市街地の雑木林などのかけがえのない自然を保全するために、NPOや行政と連攜した環境保全活動に取り組んでいます。
2019年度に東京都青梅上成木森林環境保全地域で40名の社員が保全活動に參加しました。
東京グリーンシップアクションへの參加風景